
[SHRM2017インタビュー]「日本的人事」の外側を見る~SHRM2017から見えたこと~vol.3
株式会社ピープルファースト
代表取締役
八木 洋介 氏

2017年11月10日
機能しないノーレイティングより”けじめ”をつけるレイティングを
ノーレイティングのディスカッションも議論がありました。年に1回レイティングするよりは、適宜コーチングした方がいい、フィードバックした方がいい、というように捉えられていました。
これは明確に今すぐのフィードバックを欲しがるミレニアルやZ世代の人たちを活気づかせるための施策から来ていると思います。
一方で、ベビーブーマーやその次あたりというのは年に1回の評価が欲しいと思う傾向にありますので、世代によって異なります。
実際のところノーレイティングは、フィードバックとは別物の話です。ノーレイティングを今回のSHRMでは大きくは取り扱っていませんでした。
日本は何年か遅れで何か騒ぎ始めていますけど、アメリカではすでに「ノーレイティングは機能しない」と気が付き始めているのではないでしょうか。
重要なのはレイティングではなくて、フィードバック。
だから、今回も「フィードバックをちゃんとやりましょう」「コーチングをちゃんとやりましょう」「コミュニケーションをちゃんと取りましょう」というのは、あちこちで議論されていましたが、「レイティングをやめましょう」という議論はほとんどありませんでした。
つまり、アメリカでもノーレイティングは、おそらく様々な議論のなかで、後戻りしつつあるのではないかと思っています。
私は、レイティングはした方が良いと考えています。
よく言うのは、猫は誕生日を祝わないけれど、なぜ人間は誕生日を祝ったり、成人式をやったり、入社式をやったりするのか。
これは、今日、この日から別の自分を作るという”けじめ”の日なのです。だから、これは通過儀礼と言っていいと思うのです。
今日、ここから私は変わると。そういうポイントを持っているのですね。猫は別に、今日お誕生日だからと祝うということはしないですよね。
だから、人間というのはそういうけじめが必要なのです。
毎日毎日フィードバックする。確かにいいですよ。
だけど、そうではなくて、「この1年振り返って、あなたはやはりここを直した方がいいよ」というポイントを持っている。
このマイルストーンをしっかり持つことによって、気付きというのは生まれます。
だから、毎日行っているからいいやというものではないのです。
毎日言うフィードバックと、年に1回するフィードバックは違います。両方必要なのです。
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